公益財団法人日本繊維検査協会

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編物の斜行への対応

編物の斜行:対応                                                   

斜行は今に始まった事故ではありませんが、最近、製品検査の現場では斜行による不合格品の発生が余りにも多いのが気になります。 そこで今回、内部教育用としてその方面の第一人者であるH.Y氏をわずらわしまして、「編物の斜行<A~Z>」を纏めてもらいました。 内部のテキストにとどめるのは少し惜しいように思いまして以下これを紹介します。

編物の斜行について・・・H.Yさんのレポートから ・編物の斜行には、たて方向(ウエール方向)とよこ方向(コース方向)の2種があります。

1.、たて方向の斜行について

・たて方向に斜行している商品はTシャツ、トレーナー、セーター、スエットパンツ、靴下等によく見かけられます。 斜行が発生する原因 ・素材が天然繊維(綿、麻、毛)で、編組織が平編み、編糸が単糸これらが複合されると、たて方向の斜行が発生します。 編糸が単糸使いの場合には。単糸は撚りと反対方向に戻ろうとする反発力(トルクと呼んでいる)が起きて編糸が捩じれ、たて方向に斜行が発生するわけです。 従って、編糸の撚り数が多くなるほど斜行が大きくなります。 例えば、綿100%単糸の撚撚使い、平編の機械(K式、B式)を使用した靴下の斜行は著しく大きくなります。 丸編機を使用すると更に編機トルクが加わり斜行が大きくなります。 ・合成繊維は短繊維使いの場合にも熱可塑性の繊維は生地の最終仕上げ段階において130~150度の熱で固定されるので斜行は発生しません。

・またリブ編、スムース編などは編組織により編糸の反発力を抑え込むので斜行が発生しません。

綿100%30番手単糸、平編のカットソーの商品の場合、生地加工の際に予め10%程度の斜行を作っておかないと洗濯後の脇縫い部分の斜行の基準をクリアできません。Tシャツ類の脇縫いの斜行は、着用して左脇は前身頃に、右脇は後身頃に捩じれますが

上記の生地を使用する商品については洗濯後の射行が約20%発生しますが、これはやむを得ません。

たて方向の斜行を防止するには、S撚り(右撚り)Z撚り(左撚り)の糸を編機の給糸口に交互に入れて編立すると斜行は起きません。但し編地の目ずらが劣ります。

斜行する生地を使用した際の注意点としては、原則、前あき(カーディガン等)の製品の商品企画はなるべく避けるのが望ましいと言えます。それは前立ての斜行が目立つためです。

いまひとつ現在多くのところが射行はたて、よことも3%の基準を設けていますが、実際にはなかなか守るのが難しい。

ではどうするか。生地の段階で予めたて10%のアロアンスをとっておきたい。そうしないと3段編み、タンブラー乾燥の場合3%の基準をクリアー出来ないからです。

2.よこ方向の斜行について

 給糸口の多い丸編機は螺旋状に編立てされていますが、編機の径と給糸口数は比例されていますのでよこ方向の斜行にはあまり関係ありません。

この場合の大方の原因は生地加工の作業方法のミスによるものです。特に最近丸胴での生地加工したものによこ方向の斜行が目立っていますが、その原因は加工の際に歪んでセットためで加工時のいっそうの注意が必要と思われます。

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