公益財団法人日本繊維検査協会

新着情報

縫製工場からのご質問要旨と現場からの回答

アパレル縫製工場からのご質問要旨と現場からの回答

<質問の要旨>

生地の起毛状態にムラがあり、通常ではあまり気がつかないが、

日光に当てるとラインキズのうになっているのが目立ちます。

別の生地業者の話では、「起毛工程までの保管状態や乾燥時の

シワ等に問題があるのでは?」と言っていますが、この様な

ケースの対応(対生地メーカーを含む。)についてお聞きした

い。

<JTIからのご回答>

起毛生地のラインキズ状の発生問題に関して(お問い合わせに対するご回答)

「起毛生地の起毛状態にムラがあり、ラインキズ状を呈している。それが通常ではあまり目立たないが、光に当てると目立つ。」その原因と対応について、というふうに受け取らせていただき、これを前提にして多少外部の方のご意見も加えました結果を一応下記の通りまとめました。現物を拝見しませんとやや抽象論になりますが、事情ご斟酌賜りこれを持ちまして許しを願います。

      縫製段階において起毛生地のラインズ状の生地ムラが

発見された場合の対応について

1、生地の場合にもその生地が使用され製品化された場合にも、このような現象が発見されるケースは珍しくありません。最近はかなり減りましたが、海外製の生地そのもの、さらにはこうした生地を証した製品の場合には要注意項目の一つにあげられます。問題の起毛疵はライン状で、日光に当てると目立つが、それ以外のときには余り目立たない起毛生地であることを前提として考えますと

2、その原因を巡って

①原料糸又は製織機に何らかの問題がある場合

②整理、加工,染色工程において発生したもの

起毛ムラがライン状でたて方向に出た一種の疵とみた場合、起毛針やチーズル及び針布の劣化又は生地や針布のガタツキ等が想定される。そのほか起毛針等の高さの不揃い、ゲージ間隔の不安定等も考えられないではない。

③生地の折れ皺やその折皺等の起毛ムラの可能性の想定されないこともないが、これらは起毛工程に前に処理すべきことである。

3.問題点

①今回の起毛ムラが多くの異種生地に生じているならば、起毛処理自体(機器)に起因していると考えられ、特定の種類の生地に生じているならば起毛条件等の不適が想定される。

②生地に起因した起毛ムラであるならば、その対策(前工程)の処理方法に問題の所在があると想定される。

③質問中に「起毛のムラが乾燥時の皺や起毛工程までの保管状態に対する意見が出ている。」ことに関しては、生地受入時や各工程での検査が行われていれば、ある程度のその原因が把握できるものと思われる。

4.品質水準を巡ってのご提言

(1) 品質管理においては、評価基準と客観的な確認方法の設定が不可欠であり、企業サイドにおいてもその二つを組み合わせてどのように運用するか。運用基準を持つことが必要である。
この運用基準がなければ各社により要求される水準が異なり、良否が付け難い問題が発生する。(基準が無ければ良否は言えない。水掛け論に終わる可能性が強い)

(2) 起毛に関する標準的な基準等につき、当会では生地段階の検反検査を行っていないので、起毛斑に対する評価は「言葉での注意喚起」にとどめ、現物に対する適不適の評価は当事者間での話し合いにゆだねています。但し製品検査においては、当然外観検査の対象になりますので、不適合の対象になります。なお今回のお問い合わせを機になるべく早い時期にその検討に入る必要性があるのでは、と考えております。有難うございました。

                   以上

MENU

CLOSE

page top