公益財団法人日本繊維検査協会

ファッショントレンドと品質対応

2010年12月~2011年1月のストリートファッションと分析

全体傾向
  • 12月末からスタートしたセールの影響で、アウターをはじめ、新しいアイテムの着用が増える時期であり、ダッフルコートやケープ、ファーやボアのコートなど、今年のトレンドアイテムが多数登場している
  • 昨年同時期では、モッズコートやダウンジャケットなど、ウール以外のカジュアルなアウターが目立っていたが、そろそろ飽和状態にあり、代わって、ウールのメルトン素材、ネップツイード、カシミア混のコートなどベーシックなウールのコートが登場している。
    デザインはショート丈やトッグルボタン付きなどでカジュアル寄りのものが若者に支持されている。
  • ファーやボア、ムートン、ニットなど、ぬくぬくとしていて、見た目にも着心地も暖かなアウターの支持も高く、リアル、フェイク双方が登場している。ファーでは、カットボーダーファーが登場しており、凹凸感のあるものが好まれている。ウエアのみならず、ブーツやバッグなどの小物でも、ムートン調のものが好まれている。
  • 新しいところでは、ポリエステル地に花柄プリントを施し、アクリルのファーをトリミングしたポンチョコートや、フロントにトッグルボタンを施したケープなど、プリントやディテールに変化をつけたケープやポンチョ類の支持が広まっている点である。また、ゴブラン織りコートなども登場しており、織りやプリント表現に注目が集まっている。
  • (1)
    カットボーダーファーのハーフコート。ポリエステルのフェイクファーだからカジュアルに着こなせる。ファーのマフラーも加え、暖かなコーディネート。
    *2010年12月18日/渋谷/13度
  • (2)
    フェイクムートンのダッフルコート(左)や、毛足の長いシャギーのフェイクファーブルゾン(右)など、今シーズンはボリューム感のあるショートアウターに注目が集まっている。
    *2011年1月10日/原宿/5度
  • (3)
    代官山や銀座といったエリアでは、リアルムートンの支持も高い。ブーツなどの小物でもムートン使いのものが増えている(右)
    *2011年1月23日/代官山/8度
  • (4)
    素材にトッグルボタンが特徴のダッフルコート。キャメルやネイビーなどの定番カラーのほか、ピンクや赤、オレンジなどカラフルなものも登場している。
    *2011年1月8日/渋谷/7度
  • (5)
    ベーシックなダッフルコートに加え、フードや肩、ポケット、袖部分に別布やボア、レザー等の異素材を使った切り替えテクニックを加えたタイプが出ている。
    *2011年1月10日/原宿/5度
  • (6)
    ムラ染めのデニムを使ったノーカラーのライダースジャケットに、ティアード状にレースフリルを配したAラインのワンピースを合わせている。今期はレースを全面的に使ったアイテムやトリミングにあしらうなど、レース使いが目立つ。
    *10年10月23日/原宿/20度
  • (7)
    ウールやコットン素材のジャガード織のアウターやワンピースが登場している。なかでも、アンティークな花柄を基調としたゴブラン織、あるいはゴブラン織をプリントで表現したものなどが好まれている。
    *2011年1月10日/原宿/5度
  • (8)
    ポリエステルに花柄プリント、アクリルファーをトリミングしたキュートなポンチョコートなど、存在感のあるアウターが支持されている。
    *2011年1月8日/渋谷/7度
  • (9)
    フロントのトッグルボタンがアクセントのウールのケープ。ボトムには裾がフリンジになった幾何柄編みのニットスカートを合わせている。
    *2011年1月23日/原宿/8度

写真及び解説:共立女子子短期大学 生活科学科 カラー&デザイン研究室

品質管理上の留意点

12~1月のストリートファッションの傾向を見て

上記のストリートファッションのレポ-トに関連して品質管理の仕事に携わる者の立場から、関係の皆様の今後の参考になるかもしれないと思われる問題をまとめました。少しでもお役に立てれば幸せです。

1.レポートの内容に目を通すまでもなく、今季はフェイクファーが全開でした。寒さが厳しかったこともあって、頭から足下まで埋め尽くした感がありますが、この傾向はおそらく次の11年秋冬ものまで続くものと予想されます。

そこでまずフェイクファーついて、来年以降も引き続き次の点に留意されることを申し上げておきたいと思います。

1)取扱表示に関して
人工皮革といっても素材となる繊維、加工方法、使用されている樹脂等によって一慨にはいえませんが、洗濯表示は一般的にはドライ・セキユ系以外は不適です。但しドライ・セキユ系と表示すれば問題ないか。といえばあながちそれで十分とは言い切れません。

2)上記のように微妙な問題がありますので、フエイクファー素材については是非素材のテストを受けられることをお勧めします。

3)なおこのフェイク素材の製品は保管場所の問題もあります。それには「風通しの良いところに保管して下さい。」などのケア表示するのもひとつの方法かもしれません。

2.レアムートンへの対応

これも続いて来シーズンにも出回りそうですが、洗濯は云うまでもなく×です。洗濯を必要とする場合には、「専門クリーニング業者に相談して下さい。」などのケアラベルを付けることをお勧めします。

3.フード、肩、ポケット、袖等の部分に、別布やボア、レザー等の本体とは異なった素材が使用されている製品については、付属に使用した素材の組成表示を忘れないように気をつけましょう。

4.ゴブラン織り調の素材を用いた製品が綿素材である場合には、ドライの表示は必ずしも必要ないと思いますが、平干しの表示をなされる方がよいでしょう。

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