公益財団法人日本繊維検査協会

ファッショントレンドと品質対応

2011年4月~5月のストリートファッションと分析

全体傾向
  • 春のピークを迎えた4月、5月のストリートでは、ウォッシュアウトしたGジャンやデニムのショートパンツ、チノパン等、カジュアルなアイテムをベースとしながらも、透け感のあるポリエステルのブラウスや、レースやフリル使いのトップスなど、柔らかで優しい素材をコーディネートに加えたコーディネートスタイルが支持を集めている。
  • 中でも、レースやフリル使いが目立って増えており、襟やポケットはシャンブレー、身頃や袖をレース使いにしたシャツジャケットや、ニットやカットソーの襟元にフリルをあしらったトップス等、異素材を組み合わせたアイテムが多数登場している点が新しい傾向となっている。
  • 昨年に引き続き、花柄、アニマル柄のプリントアイテムの支持も好調であり、今シーズンはこれらに加えて、水玉のトレンドも相まって、華やかなプリントアイテムが多数登場している。素材はコットンやポリエステル等に加え、ドレープの表情や落ち感の良いレーヨン素材のチュニックワンピースなども人気を集めている。
  • レース人気に付随して、鍵編みやモチーフ編みを使って、肌が透けるような編み地を施したニットトップスが渋谷を中心に支持を集めている。ドルマンスリーブ等のビッグショルダーで、透け感とゆったりとしたシルエットが涼しげな印象のアイテムであり、ジーンズやカーゴパンツに合わせたり、スエット素材のロングスカート等に合わせたコーディネートに用いられている。蜘蛛の巣のように糸を長く残してイレギュラーな模様を編み出し、肌を少し露出させたものなどもあり、久々にサマーニットの動きが広まっている。
  • (1)
    シャンブレーのウエスタン・シャツの身頃と袖にレースを使った異素材のコンビネーションがポイント。レースの使われ方が、よりカジュアルに変化している。
    2011年5月15日/原宿/23度
  • (2)
    蜘蛛の巣状に糸を長く残してシースルー効果を狙った個性的なニット。インナーにはタンクトップを合わせて、肌を露出させたスタイルになっている。
    2011年5月15日/渋谷/23度
  • (3)
    麻や綿など涼感のある糸による透かし編みニット。大きな襟ぐり、ゆったりとしたシルエットが涼しげ。ボトムにはボーダーのスエットスカートを合わせている。
    2011年5月15日/渋谷/23度
  • (4)
    ボーダーのカットソーの襟ぐりに、コットンのフリルを配したトップス。カジュアルなカットソーに、フリルやレース襟をつけたアイテムの支持が広まっている。
    2011年5月15日/原宿/23度
  • (5)
    インパクトのあるアプリケ使いがキュートなTシャツ。刺繍やボタン、レース、リボン等をパッチワークで表現したユーモラスな雰囲気のアイテム。
    2011年4月17日/原宿/16度
  • (6)
    Aラインのトレンチコートの下に着用しているのはラウンドカラーのブラウス。ボウタイがついたマスキュリン感覚のブラウスが人気を集めている。
    2011年4月17日/渋谷/16度
  • (7)
    花柄の鮮やかな総柄プリントのコンビネゾンなど、プリントアイテムが多数登場している。コットンやポリエステルに加えて、レーヨンプリントも好調。
    2011年5月15日/渋谷/23度
  • (8)
    透かし編みのボレロカーディガンに、水玉柄のコンビネゾンを合わせたスタイ胸元にゴムシャーリングを用い、フィットさせたシルエットになっている。
    2011年5月15日/渋谷/23度
  • (9)
    カジュアルなGジャンに、エレガントなアニマル柄プリントのティアードドレスの組み合わせ(左)。スカートの裾のスカラップ刺繍使いがエレガント(右)
    2011年4月17日/渋谷/16度

写真及び解説:共立女子子短期大学 生活科学科 カラー&デザイン研究室

品質管理上の留意点

  • 素材・・・予想通りプリント素材が全開です、花柄、アニマル柄と多彩なうえ、チィアードドレスなどバラエティに富んだ使用がされています。品質面からは移染、ホルマリンが要注意です。
    また今年は綿、ポリエステルのほかレーヨン使いのものも多いのでこれらについては寸法変化率のテストしておくことをお奨めします。
    いま一つ取扱絵表示の付記事項・・・ネット使用、タンブラー禁止にも留意下さい。
  • 涼、薄、シースルーへの対応・・・・蜘蛛の巣状ニットや透かし編ニット等にみられるように清涼感、薄地、シースルー効果を狙ったものが多く見受けられますが、これらについては生地段階での滑脱試験がなされていますか。必ずチェックしておくようにすることです。
  • レースやフリル使いなどの付属製品のチェック・・・・刺繍、ボタン、リボン、ボータイ、パッチワーク、レースなどの異色素材とのコンビネーション・スタイルが全盛ですが、それぞれの部位の品質検査、表示等に問題はありませんか。
    付属の装飾素材には色泣きや縫い外れの事故が少なくありませんので要注意です。
    いちいち面倒ですが、表示等がルールに従って行われているか細心の気配りが必要です。手抜きはしないように心掛けたいものです

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