公益財団法人日本繊維検査協会

ファッショントレンドと品質対応

最新のストリート・ファッション動向('15年3月〜8月)と品質管理上の留意点


1.'15年3月〜'15年8月ストリート・ファッション全体傾向

  • 今シーズンは、コーディネートのどこかには、必ずデニムのアイテムが用いられているくらい、デニム支持が盛んであった。ジーンズ、Gジャン、デニムシャツ、デニムスカート、デニムワンピースなど、デニムアイテムのバリエーションを筆頭に、カラーやオンス、加工も多彩に登場しており、コーディネートのどこかには、デニムを取り入れるという着こなしが状態化している。
  • ファッションテースト傾向では、スポーツ系スタイルが継続しながらも、これまで主流を占めてきた細身でタイトなシルエットから、ゆったりリラックスしたムードのスタイルが上昇している。これに伴い、オーバーサイズのシャツやガウチョパンツ、ワンピース、ロングスカートなどのアイテムが求められ、素材感も綿や麻混、スエット、クレープなど、全体にナチュラルな雰囲気を呈したものが広まっている。
  • コレクショントレンドの70年代調のスタイルがストリートにも反映されつつあり、刺繍入りブラウスやワンピース、ティアードやパッチワークを施したロングスカートなど、フォークロアやカントリー調のアイテムが登場している。また、フリンジやパッチワークなど、ハンドクラフト調の装飾が目立ってきている点も今シーズンの特徴である。
  • メンズアイテムで目立ったのは、転写プリントのTシャツであり、宇宙、動植物、風景、写真などカラフルな色柄が施されているものが好まれている。身頃全面や、首から袖に渡るなど、比較的大きな面積でプリントが展開されていたり、ボーダーやストライプなどの幾何柄と組み合わせるなど、インパクトのあるデザインが目立つ。秋冬に向けて、Tシャツ以外のパーカやブルゾン、ボトムにも転写アイテムが展開されそうである
  • レディスアイテムでは、ガウチョパンツ、ギャザースカートなどの裾広がりのシルエットのスカート、裾の長さを変えたレイヤースカートや、チュールやシースルー素材を使ってダブルに仕上げたシアースカートなどの二重のスカートが登場しており、ボトムのバリエーションが広まっている。
  • 素材そのものでは、クレープ、格子織り、チュール、メッシュ、レース、シフォンなど、透け感や清涼感のあるものが好まれており、ブラウス、スカート、ワンピースなどに多用されている。デニムやスエットなどの異素材と組み合わせるなど、ドッキングタイプのデザインが好まれている。また、ゴムシャーリング使いのディテールが増えて、ブラウスの袖や裾、スカートのウエスト部分などに用いられている。

2..'15年3月〜'15年8月ストリート・ファッョンの特徴的なスナップ

  • (1)ダメージデニムやカットオフしたショートパンツなど、デニム素材のアイテムが大流行
    2015年8月22日 渋谷 32℃
  • (2)
    お揃いのホワイトデニムのサロペット。サロペットは70年代にも流行したアイテム
    2015年8月5日 原宿 35℃
  • (3)
    スエット素材のパーカにデニム調のプリントを施したデニムライク素材の人気も広まっている
    2015年4月26日 渋谷 23℃
  • (4)
    デニムGジャン(左)、スエット素材のセットアップなど、リラックスしたカジュアルスタイルの人気。
    2015年6月23日 原宿 28℃
  • (5)
    スキニー人気が一段落し、ボーイフレンドデニム(左)やガウチョ(右)など、ボトムにボリュームが復活
    2015年8月22日 渋谷 32℃
  • (6)
    フォークロア調の刺繍使いのワンピースなど、70年代調スタイルが台頭している。
    2015年8月5日 原宿 35℃
  • (7)
    異なるレース生地を繋ぎ合わせた繊細なフレアスカート。
    2015年6月23日代官山 28℃
  • (8)
    ワッフル素材のワンピース。サイドフリンジがクラフト調の雰囲気。
    2015年8月22日 渋谷 32℃
  • (9)
    二羽のオウムが顔を合わせた左右対称の柄がインパクトのある転写プリントのTシャツ。
    2015年8月5日 原宿 35℃
  • (10)
    ギンガムチェック柄スカートにオーガンジーを重ねたシアースカート。
    2015年8月7日 原宿 38℃
  • (11)
    無地のスカートに、花のプリントを配したシースルー素材が重なったレイヤードスカート。
    2015年8月22日 渋谷 32℃
  • (12)
    クレープやレースなど、素材のとろみや繊細さを生かしたアイテムも人気が出ている。
    )2015年7月26日 銀座 35℃
  • (13)
    シャンブレーの生地にジョーゼット風の柔らかな素材をドッキングさせたブラウス(右)。
    2015年7月26日 銀座 35℃
  • (14)
    襟ぐりと袖がゴムシャーリングの格子織りブラウスとウエストゴムのデニムパンツのコンビネゾン
    )2015年7月26日 銀座 35℃

*写真及び解説:共立女子短期大学 生活科学科 カラー&デザイン研究室

品質管理上の留意点

2015年春夏(3月~8月)のストリート・ファッションの動向から見た品質管理面からの留意(アドバイス)事項


〈デニム(インディゴ)素材のアイテム〉

今シーズンに続き次シーズンもデニムのトレンドは続きそうです。
注意点等については、2014年春夏(3月~8月)の品質管理上の留意点にて
説明しているのでご確認下さい。

*2014年春夏(3月~8月)の品質管理上の留意点(デニムについて)


〈アイテム展開が広がりそうな転写プリント〉

転写プリントは、昇華性を利用してプリントしています。
高温アイロンがけ時に移染問題を起こす場合があるため、アイロン表示に
注意が必要です。
顔料を用いた転写捺染品の場合は、バインダー層の厚さが薄く物理的要因
(特に湿潤摩擦)に弱い傾向があります。
洗濯を繰り返すうちに、はく離する場合も考えられるので注意が必要です。


〈透け感、清涼感のあるクレープ素材〉

クレープ素材は収縮が大きいのが特徴です。
洗濯・乾燥の際に収縮やねじれ、型崩れ、表面変化が起こりやすいので、
形を整えて干す等の注意が必要です。

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