ファッショントレンドと品質対応
2010年10月~11月のストリートファッションと分析
全体傾向
- ひときわきわ厳しい猛暑が続いた今年だったが、10月に入って一転、秋の装いを通り越して、すっかり冬らしいアウターが登場した。
今シーズンに入って、全体的なトレンドが70年代リバイバル、または90年代リバイバルを彷彿とさせるスタイルが登場しており、カジュアルなトラッド調の支持と、スポーツスタイル、アウトドアアイテムを加えたヘビーデューティーなスタイルが登場している。 - アウターでは、ウール素材のPジャケットやダッフルコートなどが好まれているのに加え、フェイクムートンのアウターや、ナイロンのベストにファーをトリミングしたものなど、異素材ミックスのアウターが台頭している。
またデニムのアウターも復活しており、ムラ染めデニムのライダース等が好まれている。 - ボトムでは、ダメージデニムのショートパンツやスキニーデニムなど、継続して人気のパンツに加え、チノパンなどのコットンパンツが新たに登場している。スカートでは、異なるチェック柄を接ぎ合わせたティアードスカートなど、フォークロア感覚のものが支持を集めている。
さらに、春夏シーズンに使われることの多いレースが、この時期でも多用されており、レースのワンピース、スカートの裾にレーストリミングを施したものなどが目立って増えている。 - 今シーズン最も注目されるのが暖かなファーやニット、ボア素材を使った小物類であり、袖のないポンチョ、ファーの巻物、ニットやボアを使った円形状の巻物であるスヌード、まるでクマの足のようにボリュームたっぷりなシャギーを使ったレッグウォーマーなど、様々なアイテムが登場している。
- (1)
今シーズン人気のアウターは、ミニスカートにもロングスカートにも合わせやすいショート丈コート。ウールやフェイクムートンなどでダブルフロントのものが多い。
*10年11月23日/渋谷/16度 - (2)
アウトドア系アウターが注目されている中、今シーズンはナイロンとファーとを組み合わせた異素材ミックスのベストなどが登場している(左)。ボトムではデニムに加え、チノパンの人気が高まっている。
*10年11月23日/原宿/16度 - (3)
今年のトレンドカラーのベージュはアウターでもすでに浸透している。モコモコとしたパイルニットのノーカラージャケットやフェイクムートンなど、ボリューム感のあるタイプが人気。
*10年11月23日/原宿/16度 - (4)
90年代のリバイバルを彷彿とさせるストリート系スタイルが復活している今シーズン。身頃がウールで袖口がレザーのスタジアムブルゾンなど、スポーツ系アイテムが注目されている。
*10年11月23日/原宿/16度 - (5)
もこもこと暖かなボア素材を使ったアウターの人気が高まっている。フード部分にフェイクファーのトリミングが施されている。シルエットはAラインなど、ウエストを絞らないボリューム感のあるものが多い。
*10年11月23日/16度 - (6)
ムラ染めのデニムを使ったノーカラーのライダースジャケットに、ティアード状にレースフリルを配したAラインのワンピースを合わせている。今期はレースを全面的に使ったアイテムやトリミングにあしらうなど、レース使いが目立つ。
*10年10月23日/原宿/20度 - (7)
今年人気のノルディック柄を模様編みしたポンチョ。フロントにはトッグルボタンがつき、裾にフリンジをあしらったデザイン。巻物人気の進化形アイテムとして、さらに支持が広まっている。
*10年10月24日/銀座/18度 - (8)
ニットのロングカーディガンも20代半ば前後の大人の女性を中心に支持の高いアイテム。杢ニットをつかった風合いが大人っぽい。首に配した巻物はファー×チュール×マクラメレースを使った手の込んだアイテム(左)。
*10年10月24日/代官山/18度 - (9)
まるでクマの足のようなレッグウォーマーをアクセントにしたコーディネート。ボリュームたっぷりの足元とショートパンツとのバランスで魅せている。レッグウォーマー以外でもシャギーをあしらったブーツなどが大人気となっている。
*10年11月23日/渋谷/16度
写真及び解説:共立女子子短期大学 生活科学科 カラー&デザイン研究室
品質管理上の留意点
10~11月のストリートファッションの傾向を見て
1.シーズンの関係から,「モコモコ/暖か」「ボア素材」を使ったフードとか、衿にフェイクファー(人工毛皮)のトリミング施した製品やレッグウオ―マーとかが人気を集めています。
2.巻物ブームでその深化形としてポンチョがあげられていますが、巻物はファー×チユ
ール×マクラメレースといった手の込んだものが人気を呼んでいるようです。
3.引き続きレースに人気があり、全面的にレース使いのもの、トリミング風に扱ったものやライダースジャケットにテイアード状にレースフリルを施したワンピースなど、多彩です。
このようなストリートファッション情報に接していますが、フェイクファーやレースの流れはこれから年を越しても、あるいは春ものの時期に入ってもまだ続きそうな気配です。
そこでこれらの製品に対する品質管理上の留意事項を次にまとめました。参考になれば幸いです。
(1)まず、フェイク素材を配した製品については、その組成表示を間違わないことと取扱い絵表示に十分注意して頂きたいことです。
(2)フェイクファー(人工毛革)が本体と一体になっている製品の組成表示は、例えば
本体 OOOO 80%
XXXX 20%
えり部分 △△△△ 100% です。
なお巻物等としてフェイクファーが単体の製品として販売されているものについては、家庭用品品質表示法の法令上では、組成表示だけが求められていて、取扱い絵表示は必須記載事項ではありませんが、販売先によっては要求される場合がありますのでよく確認することです。
(3)レース使いのものがこのところ引き続いで売れていますが、全面的にレース使いの製品については、レースの種類にもよりますが、洗濯絵表示の本体の下に「ネット使用」と「タンブル禁止」を付記されることをぜひお勧めします。
4.トリミングにレースが使用されている製品の場合には、配色によっては色泣き等の事故を起こすケースがしばしば見受けられます。濃色のものは必ず染色堅ろう度試験を受けてチェックするなどして下さい。また柔らかい生地素材にトリミングするときには、縫い目(針目)に気を配りお客様の手に渡ってから迷惑をかける結果にならないよう縫製上の気配りも必要と思います。