ファッショントレンドと品質対応
2010年8月~9月のストリートファッションと分析
全体傾向
- 猛暑の影響で9月に入ってもノースリーブやフレンチスリーブのブラウスやカットソーワンピースを重ね着せずにコーディネートし、足元もビーチサンダルやストラップサンダルを合わせたスタイルが目立った。そのようななか、一足早く、黒ベースのワンピースやロングスカートなど、秋らしいアイテムの着用も少しずつ取り入れられている。
- 民族調の柄とチェック柄アイテムが新たに登場しており、エスニック柄、ペイズリー、フェアアイルなどのフォークロア調のものと、タータンチェックやブロックチェックなどのアメカジ調のものが多い。ベースが黒または濃いブラウン系のダークカラーのものが多く、コントラストの強い配色のものが好まれている。
- トップスでは、レースニットやフリンジ、ドレープ、ラインストーンやスパングル装飾など、存在感のあるデコラティブなアイテムが好まれており、秋冬にも継続して支持を集めそうである。
- 渋谷のギャルを中心に、ダメージやスラッシュデニム、フェイクレザーのコンビネゾンなど、ハードな素材感のあるものが登場しており、今後さらに拡大が見込まれる。
- 秋冬のワンポイントの要として注目されているファー使いが、猛暑のなかでも早くも登場しており、ファーのベスト、ファーのテイル(しっぽ)のアクセサリーなどが取り入れられている。
- (1)
マヤ・アステカなどを彷彿とさせる民族調のコットンプリントのスカートは鮮やかな配色が新鮮。
黒Tシャツで全身を大人っぽくすっきりまとめている。
*10年8月29日/代官山/34度 - (2)
Aラインのリラックス、かつフェミニンなシルエットの花柄プリントのチュニックワンピース。秋冬に向けて、暖かみのある花柄プリントが登場している。
*10年8月29日/代官山/35度 - (3)
アメカジ・スタイルに欠かせない、チェック柄のウエスタンシャツ。タータン柄やオンブレ・チェック、ブロックチェックなど、様々な柄が出ている。
*10年9月7日/原宿/28度 - (4)
レースニットのラグランスリーブのトップス。秋冬に入っても、毛糸を用いたレースニットが継続して人気を集めそう。
*10年9月7日/原宿/28度 - (5)
鮮やかなノースリーブのキャミソールは、胸元に配したフリンジがポイント。30年代調ドレスなどのクラシカルな装飾がタウンウエアに再現されている。
*10年8月29日/代官山/35度 - (6)
ラインストーンやスパングルなど、光る装飾のついたデコラティブなTシャツ。自分でパーツを用意し、オリジナルにリメイクするのも流行している。
*10年9月7日/原宿/28度 - (7)
デニムではアイスウォッシュなどの洗いをかけた素材が注目されているが、スラッシュ等のダメージデニムが登場し、さらにハードな感覚が支持されている。
*10年9月5日/渋谷/34度 - (8)
パンクな雰囲気のフェイクレザーのジャンバースカート。
ウエストをコルセット風ベルトで締めて、ボンテージを彷彿とさせるスタイリングが新しい。
*2010年9月5日/渋谷/34度 - (9)
猛暑続きのなか、ファーのベストで秋スタイルを取り入れている。レースのティアードスカートなど、コケティッシュなイメージのコーディネート。
*10年9月5日/渋谷/34度
写真及び解説:共立女子子短期大学 生活科学科 カラー&デザイン研究室
品質管理上の留意点
8~9月のストリートファッション・トレンドに副って、10月以降のシーズンにつながる品質管理サイドから見た留意点をまとめてみました
1.a)まず全体の傾向として、今回のレポートばかりではなくトレンドカラ―全般の傾向が、これまでの寒色系から暖色系へと緩やかながら移行し始めていることを頭に入れておきましよう。
新しく出てきたカラーは、美味しそうで食欲をそそる鮮やかな色で、オレンジや黄色、セピアグレー(ロバの皮の色)、クッキー色、料理にかけられているソース色などで、グリーンも復活が予想されています。
b)以上はいずれも品質管理の立場から見ますと、これまで続いた寒色系に比べ染色堅ろう度の面では要注意です。これまで以上に染色堅ろう度の面に配慮することが求められます。
2.秋冬物にもレース調が続き、毛糸を用いたレースニットが継続して人気を集めそう、とレポートにありますが、この種の目の粗い生地類の縫製仕様には滑脱など等を起こさないように細かく気を配ってほしいものです。
3.デニムではアイスウオッシュなど洗いを掛けた素材が注目され、またスラッシュ等のダメージデニムが登場しますが、これらの製品の表示(メリット表示、デメリット表示を含む。)には十分な配意が必要でしょう。
4.レポートにもあげているように、フアー使いのベストとか、テイル(しっぽ)風のアクセサリーが秋冬ものでも人気を浴びそうです。これらについては、組成表示、天然ものの場合原産地表示にも手落ちがないよう。さらにファーについては、品質管理の立場からいいますと、ぜひ「汗試験」を行われることをお奨めします。