公益財団法人日本繊維検査協会

ファッショントレンドと品質対応

最新のファッション動向と品質管理上の留意点('12年9月〜'13年2月ストリート・ファッションから)

'12年9月〜'13年2月ストリート・ファッション全体傾向

  • 2012年秋は、フェミニン調のトラッドスタイルがヤングからOL層などに幅広く支持を集めた。主なアイテムでは、ボウタイやラウンドカラーのポリエステル素材のブラウス、カーディガン、ブレザー、プリーツやタックスカートなどであり、カーディガンにスタッズやワッペンがついたもの、スカートにレースをあしらいダブルスキンになっているものなど、素材にアレンジを施したものが目立った。
  • 秋から冬にかけて、ニットの人気が高く、フェミニンで柔らかな雰囲気の丸衿ニット、カーディガン、チュニックニット、ニットワンピース等が多数みられた。いずれも、レースや模様の編み込み、モヘアやラメ混など、素材や編み方に特徴のあるものが多く、色はオフホワイト、ベージュ、ヌードピンクなど、ライトトーンの色調のものが好まれた。
  • ヤング層の間では、90年代調のスタイルがリバイバルしており、スポーツ、アウトドア、ミリタリーなどの要素を組み合わせたカジュアルスタイルが注目された。なかでも、ライダージャケットとスタジアムブルゾンの人気が高く、ライダージャケットでは皮革、合皮双方がみられ、またスタジアムブルゾンでは、身頃がウール、袖が皮革または合皮になっているものが目立った。
  • 今期のアイテムのなかで、新しい傾向だったのがコンビ使いであり、シャツブラウスの身頃と袖を異なる生地や柄で仕立てたり、コートではウール地の裾部分にボアを使ったものがあったり、パンツの前身頃と後ろ身頃、ポケットをそれぞれ別々の生地にしたものなど、素材や柄の使い方にユニークなものが多く、この傾向は2013年春夏に継続しそうである
  • 今期は都内でも積雪に見舞われるなど、寒い日が続いたものの、アウターでは、ダウンは減少し、ウールコートの着用がヤング〜キャリア系まで全般的に広まった。トレンチ、チェスター等、マニッシュなタイプと、プリンセスコート、ケープ、コクーンシルエット等のフェミニンなタイプが多いが、いずれも、モヘア、シャギー、別布使い、グラデーション染めなど、凝った素材が目立った。
  • (1)
    ミントグリーンの薄手ニットに合わせたのは、黒レースの下からグリーンのサテン生地が覗く、ダブルスキンのタックスカート。レース使いのフェミニンなスカートは今期人気のアイテム 
    2012年9月27日/原宿/25度
  • (2)
    フェミニンでエレガントなスタイルに多数見られたのがラウンドカラーのニット。レース編み込み、モヘアやラメ混などの繊細なニットが好まれており、カットレースのコットンスカートなどと合わせて、全身キュートなスタイリングになっている
    2012年10月20日/渋谷/22度
  • (3)
    レザーのライダージャケットは、定番の黒や茶以外の、ピンク系ベージュの色合いが多数みられた。ボトムは今期支持の高いショートパンツを合わせている。
    2012年10月20日/銀座/22度
  • (4)
    アウターでは、Aラインやコクーンシルエットのウールコートの支持が高い。左はモヘアのふわっとした風合いがキュートなノーカラーコート、右はマニッシュなトレンチをAラインに変えて、フェミニンなイメージになっている
    2012年11月29日/原宿/16度
  • (5)
    ヤング層では、90年代のストリート系スタイルのリバイバルが目立った。左は、スタジアムブルゾンをアレンジし、身頃はテーラードジャケット風にし、袖にレザー、袖口にリブを使ったアイテム。右は合皮のライダージャケットにレーヨン混のドレープ感のあるロングスカートの組み合わせ
    2012年11月29日/渋谷/16度
  • (6)
    脱ダウンの傾向が顕著であり、ツイードやカシミア混など、ウール素材の正統派な感覚のコートが多数登場した。代官山では、チェスターコートなどのボックスシルエットのマニッシュコートが多く、右のようにグラデーション使いなど、凝った染め方のものが着用されていた。
    2012年12月11日/代官山/12度
  • (7)
    ミリタリー調のアウターをケープデザインにし、衿と袖と裾部分にボアを使ったユニークなデザインのアウター。ボトムに合わせたのはショートパンツで、こちらも裾にボアをトリミングしたもの。
    2012年12月20日/原宿/10度
  • (8)
    右のコーディネートは、ムートンのライダージャケットにホワイトデニムを合わせたクールなバイカースタイル。ムートンはボリューム感のあるものではなく、細めで都会的なシルエットのものが好まれている。
    2013年1月12日/銀座/9度
  • (9)
    ウールのアウターは、裾部分にシャギーを覆ってボリューム感をプラス。ウエスト部分にはファスナーが付き、ショート丈アウターにも出来るコンバーチブルなデザイン。ボトムはストーンウォッシュのカラーデニムをコーディネートしている。
    2013年1月12日/渋谷/9度
  • (10)
    ヤング層に好んで着用されているのが、写真のようなコクーンシルエットのコート。左はベーシックなキャメルのウール地で、裾にタックを寄せて丸いフォルムを出したもの、右はミックスヤーンでざっくりと織ったウールを使ったレトロな雰囲気のコート。
    2013年1月12日/渋谷/9度

写真及び解説:共立女子短期大学 生活科学科 カラー&デザイン研究室

品質管理上の留意点

'12年/'13年秋冬(9月~2月)のストリート・ファッションの動向から見た品質管理面からの留意(アドバイス)事項

1.アウターではこの長い間市場を席巻した感のあるダウンが減少し、ウールが拡大したのが目立つ。この傾向は'13年秋冬物にも引き継がれるものと見られ、品質管理面でも対応が求められよう。 生地はマニッシュなタイプとフェミニンなタイプが多いいが、モヘア、シャギ—、別布使い、グラデーション染め等こった素材を用いたものが主流をなしているので取扱絵表示だけでは足りない場合が多いと思われる。そのようなときには任意表示でカバーすることが必要かも。

2.この'12年秋冬はヤングからOLまでフェミニン調のラッドスタイルが幅広く支持を集めた、とレポートは指摘しているが、ブラウス、カーデガン、ブレザー、スカートなどそのいずれもスタッズやワッペンあるいはレース素材等をアレンジしたものが多い。  これらの製品に対しては、必要なものは手洗イ、ネット使用などの細かい配慮が求められる。

3.さらにこのシーズンの新しい傾向として、例えばシャツブラウスの身頃と袖が違った生地や柄のものを用いたり、ウール地のコートの袖の部分にボアを使ったりするなど「コンビ使い」のものが市場に出回り、この傾向は来季にかけても継続しそうだとレポートは伝えている。 これまた品質担当者としては細かい気配りを求められる課題である。

4.いま一つヤング層の間にライダージャケットやスタジアムブルゾンの人気が高く、前者ではその素材に皮革(A)、合繊・人工皮革(B)の双方が使われ、後者では身頃がウール、袖部分がA又はBというような使い方がされている。Aの表示は雑貨工業品品質表示規程に従い、Bの表示は繊維製品品質表示規程によることになっているので間違わないようにくれぐれも留意されたい。

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