公益財団法人日本繊維検査協会

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品質事故は忘れた頃に・要注意

品質事故は忘れた頃に・要注意

{伝説の警句}と言われるものに寺田寅彦の言葉がある。

かの有名な「天災は忘れた頃に来る。」である。しかしこの言葉は彼が言い出

したと世間に伝えられてはいるが、実際には手紙や手帳等を含めて寅彦本人が

書いたものの中には発見できないという。

それはどうでもよいが、この警句が真実であることは間違いない。

転じて品質管理の現場に身を置く者の立場からすると、そっくり品質事故につい

ても当てはまる。

衣料品の品質を巡って虚偽表示等の問題が発覚しマスコミにも取り上げられ社会

的な制裁にさらされるケースは、このところ途絶えて見聞きしなくなった。

実際にその通りであれば誠に結構で喜ばしい限りであるが、これはどうも疑わし

い。

現に通販の世界では偽カシミヤの表示がかなり横行していると言うし、中には店

頭で販売されている商品でも、表示法の取り決めに照らして明らかに逸脱するも

のが少なくない、と指摘する専門家もいる。

消費者重視から経済復興優先の時代に微妙に風向きが変わって、われわれ品質管

理の世界でもやや天災、いや品質事故への対応に気を緩めている空気はないか。

天災と同様に「事故は忘れた頃に来る。」この警句をいま一度思い起こす時期にき

ていると思うが、果たして皆さんはいかがお考えだろうか。

        13年2月14日    Y.O

 

 

 

 

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