テキスタイルトレンドと品質対応
2014年春夏テキスタイルトレンドと品質管理のアドバイス(プルミェールヴィジョン展の傾向をベースに)
・・プルミエールヴィジョン展(パリ)とウニカ展(ミラノ)の素材展の傾向を中心に・・
2014年春夏ファッション・コンセプト<NET・FUSION:ネットアドベンチャーによる複合化>
<目次>
1)2014SSのファッション・コンセプト<NET・FUSION:ネットアドベンチャーによる複合化>
2)2014SSカラーの傾向
3)2014SSテキスタイルの概要
4)2014SSシーズンを牽引する2つの要因と代表的な7つのトレンド
5)後記/ 傾向とまとめ
*品質管理面からのアドバイス
1.2014年春夏のファッション・コンセプト <NET・FUSION(造語):ネットアドベンチャーによる複合化>
現在の世界はネットアドベンチャーが盛ん、今、若者の間で言われている新語で場所にこだわらずに、パソコンだけを持って自由に仕事をするスタイルのことをnomad worker(ノマドワーカー)と言われているように、瞬時に電子のようにどの文化圏、時代、地域に広く、自由に飛んでゆけ、ほとんどの情報も手元に置け、疑似体験可能な環境に身を置くなかで、必然的にひとつの地域、事柄に偏ることなく、自身のイデア、ライフスタイルに、取り入れて構築してゆくことが可能な時代。その結果居ながらにして「都会生活とノマド生活」「エレガンスとスポーツ」「未来と過去」などあらゆる空間軸、時間軸を融合してゆくことが可能な時代の中でファッションも進化してゆきます。
ラフォードの原子模型イメージ原子の構造は中心に重い【核】が存しその周りを電子が飛び回っている. 各元素の最小の微粒子(1/1億cm)
2.2014年春夏のカラー傾向 (2014SSプルミエールヴィジョンより)
■2014ssプルミィエールヴィジョン・レディスのトップカラー
*トップカラー:上から、「1.狂気のゼラニュウム」「2.ホワイトベージュ」「3.緋色のケーブル」「4.必然のブルー』「5.薔薇の樹脂」「6.アシッドなLED」「7.ブルー・ビル」
3. 2014 SSテキスタイル概要
前回は装飾性素材はらせん階段を2〜3回まわって次のステップが見えてきたと予想しましたが、過剰な装飾性はジャカード、ドビーといった洗練されたプレーンな方向に、質感はうねりのある凹凸感からクレープ(強撚)糸を使ったザラザラ感のある砂やジャリを掴んだ様なドライ感のある質感、もう少し進化して折り紙のように薄く、軽く、しかしハリのある素材を表現するために麻、薄手綿、シルクにコーティング加工を施したり新しい技法も見えます。 糸使いは釣り糸のようなナイロンモノフィラ糸、ラメ糸、などの光沢糸使いなど、控えめな光沢感のある素材も。
カラーは今まで以上に重視されるシーズンになり、ベストカラーを見ても判るように全体アースカラーはほとんど無くクリアな「赤系」と「青系」に集約、そのなで「白」は重要で使い方として「白をアクセント」に又「白をベースに」全体に「明るく、軽い」感じに配色することなど、カラー、糸、組織、とあらゆるファクターを動員して企画することが重要になります
4. 2014SSシーズンを牽引する2つの要因と代表的な7つのトレンド
*2014年春夏の素材を牽引する2つの要因
1.カラーが素材を牽引...「骨」の白。何も足さない何も引かない「素」の色素材(ナチュラル素材)。アクセントとしての白をいかした先染めやプリント。
2.質感が素材を牽引...「骨」「砂」のような質感の素材。「ドライ感」「マット(無光沢)感」「洗いざらし」「天日干し感」。砂漠の遊牧民(ノマドから)生活用品、衣料などトライバルイメージ。
*7つのトレンド
1.Net Fusion(ネットフュージョン)
2.The white is important(白の重要性)
3.Crepe yarn(強撚糸使い)
4.Cotton Linen(綿麻タイプ)
5.Surface effect(表面効果)
6.Plain weave(平織り)
7.Geometric pattern(幾何グラフィック)
5.それぞれの特性、そのイメージ写真で解説
[Net Fusion ]
- テイスト(エレガンス&カジュアル)質感(軽さ&ハリ)地域(エスニック、トライバル)などカテゴリーの融合
[ The white is important =白の重要性 ]
[ Crepe yarn(強撚糸使い) ]
- クレープ(砂、岩肌のドライ感)
[ Cotton Linen =綿麻タイプ ]
- 天然も化合繊も
[ Surface effect=表面効果]
- ジャカード、ドビー等による表面効果
[Plain weave(平織り)]
- 清涼感、ナチュラル感を表現
[ Geometric pattern=幾何グラフィック]
- 直線的な幾何グラフィック
後記-傾向とまとめ
今回欧州の素材展ミラノウニカとパリプルミエール・ヴィジョンを両素材展も「都会生活とノマド生活」「エレガンスとスポーツ」「未来と過去」などあらゆる空間軸、時間軸を融合してゆく「FUSION=フュージョン(融合)」がテーマになっている。
特に、カラーパレットに添付されたパンフの(プレスルームの壁に大きく拡大された写真が貼られていた)ロンドンの整骨医の巨大な骨格写真、などでそれぞれ素材感、カラートーン配列の新しい視点、と共に巨大な骨格模型はともすれば、ノマドワーカーにとって、過多な情報によって何でもありのなかで、見失いそうな自己のスタンスを背骨をシッカリ意識せよとでもいうように「ボン」と立っている写真は印象的であった
以上、「テキスタイルの傾向予測情報」は、2014SSプルミエール・ヴィジョン展及びウニカ展の取材に基づき、予測情報としてまとめたものです。
解説:MKプランニング代表 テキスタイルプランナー 小山正夫
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*品質管理面からのアドバイス
2014年春夏テキスタイルトレンドのレポートから、品質管理面の立場から留意点をまとめました。
1.カラー傾向について
赤、紺、白があげられていますが、「赤」は最近は少なくなっているものの、念のため堅ろう度を確認されておく必要があるかもしれません。.
2. 素材の質感等に関連して
レポートでは特に「骨」「砂」のような質感の素材あげられています。純白、洗いざらし,天日干し等「骨」に象徴されるナチュラル感、凹凸感を持つ素材傾向ということでしょう。 感覚的な表現ですが、大事なのは企画段階において「表示」まで念頭に置いて物づくりを進める、ということではないでしょうか。
3. 素材傾向の予測とそれに対する対応
1)うねりのある凹凸感からクレープ(強撚)糸を使ったザラザラ感のある砂やジャリを掴んだようなドライ感のある質感、それよりさらに進化して「折紙のように薄く、軽く、しかしハリのある麻、薄手の綿、シルクにコーテング加工を施したもの等」があげられていますが、これらの素材については次にあげる事項に注意が必要なものがあります。
a.滑脱
b.収縮・斜行(薄地素材全般)
c.アイロン(薄手のもの、ドライ感、凹凸のある生地)
d.洗濯(手洗い、ドライ<石油>など)
2)ジャカード、ドビ―(収縮しやすいので洗濯表示に注意のこと<ドライ・石 油 >)
3)麻素材
a.素材鑑定(混用率%)が難しい
b.30%程度以上の生地は収縮率が大きい(斜行に注意)また毛場立ちしやすい(注意表示が必要かも)
c.洗濯表示に要注意
などなどありますが、要は企画の段階からこれらのことを頭に入れて取り組むことが大事でしよう。
以上、日本繊維検査協会/品質管理担当者より